Franco-Ontariens

「フランコ・オンタリアン」というのは、カナダのオンタリオ州にいるフランス語話者のことを言います。


今に繋がるカナダの歴史は16世紀末に大西洋を渡ってやってきたフランス人がセントローレンス川流域に広大なヌーヴェル・フランス植民地を建設したことまで遡ることができますが、それがカナダにおける「フランス的事実」(fait français)と呼ばれるフランス起源の文化の源流です。今ではケベック州にフランス語話者は集中していますが(カナダのフランス語話者のおよそ80%がケベック州にいる)、ケベック州と接しているオンタリオもフランス語話者はいます。特に、私が今いるオタワには。


オタワは、オタワ川という大河がダウンタウンのすぐ北側を西から東に向かって流れていて、そのオタワ川を渡ればもうケベック州。仏語一色の州。だからオタワのダウンタウンには、隣町ケベック州ガティノーの人もいっぱい歩いているし、それだけでなく、元からオンタリオ州に生まれ育ってるフランス語話者も結構います。統計資料はまだ見てないけど、暮らした肌感覚として、思ったよりフランス語話者多いなって感じ。


カナダのフランス語系マイノリティは私の研究のど真ん中関心で、今までケベックにばかり目を向けてきたけれど、実際にオンタリオ州に住んでみてフランコ・オンタリアンに出会って発見も多い。


今一番身近なのは、職場の掃除のおじいさんがフランコ・オンタリアンで、彼と話しているとおもしろいのが、フランス語のdoncを使わず、英語のsoを多用してること。フランス人がbienというところをgoodというところ。ケベック人とは違うっていうアイデンティティを持っていること。雪と寒さを嫌っていること(私が会ってきたケベック人は雪も寒さもへっちゃらだった人が多かった)。ケベック人と一緒で「また後でね」って時にà tantôtっていうこと。などなど。

他にも、フランス系カナダ人の血を引いてるけど完全に英語しか話せない同僚もいて、フランコ・オンタリアンは奥深い感じでそそられる。


ゆくゆくはフランコ・オンタリアンを研究してみたい。そんな風に思う毎日です。



オタワ川。対岸はケベック州ガティノー。

Lapin blanc et petites bestioles

"わたしたち、ここにいるわたしたちは、うさぎの毛の奥深くでうごめく蚤です。けれども哲学者たちは、大いなる手品師の全貌を目の当たりにしようと、細い毛をつたって這い上がろうとしてきたのでした" ーヨースタイン・ゴルデル『ソフィーの世界』

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